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第一場 警察署にて
マグダ: こんにちは
マグダ: こん...こんにちは...
警部: ここで何をしているのですか?
マグダ: その...あの警官に...中に入るようにと...
警部: 何のために?
マグダ: 告訴するためです
警部: 告訴?ここで?今日?
マグダ: はい...
警部: でもなぜ?
マグダ: あなたは...警察官ですか?
警部: もちろんです!
警部: じゃなかったら何なんです?
マグダ: 夫に殴られました...
警部: それで?
マグダ: 告訴したいのですが...
警部: 告訴!ありえるとでも?
警部: 告訴のためにここに来るなんて...もっとマシな対応があったのでは?
警部: たとえご主人があなたを殴ったとしても!
警部: 今は日曜日の午後!サッカー中継の最中ですよ!
マグダ: 腕は折れ とても痛かったです...
マグダ: 家を追い出され...もう私を家に入れないと言っています
マグダ: 「子供達が邪魔なので施設に入れる」とも...
警部: なぜ?
マグダ: 私のことをもう愛してないと言うのです
マグダ: 子供達と私が夫の邪魔をしていると言っており
マグダ: うるさくて中継が聞こえないらしく...
警部: それは本当なのですか?
マグダ: そうですね...時々は...はい...もちろん...
マグダ: 子供達はまだ小さいので騒いでいても仕方がありません...
警部: それでもあなたは告訴したいのですか!
警部: かわいそうな男だ!仕事で疲れて
警部: サッカーの決勝戦を聞くのを楽しみに帰ってきたというのに...
警部: しかも決勝戦! マドリード相手にホームグラウンドで!
警部: それなのに 泣き虫の妻とやかましい子供達がいて
警部: 落ち着いて試合を聞かせてもらえない...!
警部: それはもう 皆殺しするに値する!ご主人はあなたに何もしていないに等しい!
警部補: 警部!レケホ銀行に強盗が入りました!
警部補: この建物です!強盗が中にいます!
警部補: 会計係を負傷させて 人質を20人とっています...
警部: なんてことだ!
警部: テロリスト マフィア ETAの協力者 こそ泥 だ!
警部: 全員出動だ! 平の隊員から警部! 警部補! 警察官も! 全員だ!
警部補: 平隊員は2名のみで 警察署で警備に当たっています
警部: なら いつもサボってる特殊作戦部隊を呼べ!
警部: あいつらがもらってる特別報酬の分 働いてもらおう!
警部: そして俺はここで疲れて 一人きり! 助けもなく 残業代もなし!
マグダ: ならどうすれば...?
警部: なんと! まだここにいるのですか?
警部: 我々が直面している重大な危機がわからなのですか?
警部: 祖国の危機の最中 あなたは平手打のようなものに泣いている!
警部: 私たちはあなたのため 奴らのために命の危険を冒し
警部: 犯罪者やテロリスト 泥棒たちからあなたたちを守っているのですよ
警部: あなたのかわいそうなご主人は 仕事で疲れて試合も楽しめず...
警部: とっとと出てってください!今回は許してあげますから!
警部: もう繰り返さないように!
マルガリータ: こんにちは...
第二場 弁護士事務所にて
弁護士: 離婚したいとおっしゃるのですね?
弁護士: では その理由を教えていただけますか?
マルガリータ: 主人が秘書を連れて家を出ていきました
マルガリータ: 大したことではないと思われますか?
弁護士: 考えてみましょう...考えてみましょう
弁護士: 大変なことかもしれないしどうでもいいことかもしれません その二人は今どこに?
マルガリータ: 数日休暇を過ごすためにマヨルカ島へ...
マルガリータ: セントラル・ホテルに泊まっています
マルガリータ: 部屋番号と電話番号はわかっています
弁護士: わかりました...よく考えれば大した話ではないです
弁護士: その二人は夫婦のように生活しているのですか?
弁護士: ホテルに夫妻としてチェックインしたのですか?
マルガリータ: いえ 二人はそれぞれの名前で別々の部屋に泊まっています
マルガリータ: 単なる上司と秘書のふりをしています
弁護士: ああ!良くない 非常に良くない 姦通の明確な証拠がありません
弁護士: "ADULTERII PROBATUM DEBEM ESSE" 姦通は証明されなければならない お分かりですか?
弁護士: 姦通は 性交の証言があって初めて COMPROBATUM EST つまり立証されます
弁護士: それも 居合わせた目撃者の明白な誓いのもと!
弁護士: しかし 理解に努めましょう
弁護士: 姦通を事実と認めるには 完全なる性交が必要です
弁護士: つまり 完全な射精における精液の放出をともなう男性器の女性器への挿入です
弁護士: そんな射精の検証は その場に居合わせて目撃しなくとも、
弁護士: 染みが付いたばかりのシーツなど 外から見て十分といえる印で大丈夫です
弁護士: 医師による女性器の検査でも可能です
弁護士: そんな形跡もないのに どう証拠を提示するのですか?
マルガリータ: もちろんそれはできません
マルガリータ: でも 主人はその女性と2年前から付き合っています
マルガリータ: 結婚前主人の両親がくれたダイヤの婚約指輪もその子にあげてしまいました
マルガリータ: しかも アパートを借りていて 仕事のあと一緒にそこに行くのです
マルガリータ: 二人が出入りするのを近所の人たちが目撃しています
弁護士: 徴候 憶測 ああでもない こうでもない!
弁護士: それは教会裁判所で姦通の疑いによる別居手続きには十分だったでしょうが
弁護士: いまのご時勢はですね奥さん 恩知らずなことに教会の司法権が軽んじられ
弁護士: 我々は単なる民事裁判所になってしまいました...感情もキリスト教道徳もない...
弁護士: 我々にできるのは証拠を出すだけ...
弁護士: 別居手続きにとりかかるための反証できない 疑う余地のない 証拠を!
マルガリータ: それに 主人は家を出て行って 彼女と一緒にいるのですよ!
マルガリータ: 休暇を取った1ヶ月は戻ってこないつもりです
マルガリータ: 私一人をバルセロナのマンションに子供と残した... 5ペセタの金もなしに
マルガリータ: 昨日は料金未納で電気が止められました
マルガリータ: それって家族の放棄です しかも悪意のある!
弁護士: なぜ「悪意のある家庭放棄」を知っているのですか?
マルガリータ: 刑法典一冊買って読みました
弁護士: それならどうして専門家を呼ばせに来るのですか?
弁護士: 専門家は微妙な意味合いや細かいことをあなたよりもずっとよく知っている!
弁護士: あなたは刑法典を購入して もう法律がわかった気になっている!
弁護士: それなら 我々弁護士は何のために存在しているのでしょうか?
弁護士: 離婚とはそう簡単に諸求できなません!ご存知で?
弁護士: 別居の申立書の提出前に告訴しなければならないということは?
マルガリータ: 知っています 実際にやってみました
マルガリータ: 昨日の午後 警察署に行きました
弁護士: どうなりましたか?
マルガリータ: 告訴を受け入れようとしてくれませんでした
マルガリータ: 警察署長は それが馬鹿げていると言いました
マルガリータ: そのうち主人は戻ってくるから
マルガリータ: それまで掃除をして美味しいご飯を用意しておけと言われました
マルガリータ: 疲れて帰ってくるだろうからと……
弁護士: もっともだ! いつだって美味しいシチューがあれば疲れも取れるでしょう
弁護士: 真面目に家事をして努力すれば 間違いなく夫は戻ってくるでしょう
弁護士: 出口で私の秘書に相談料を払うのをお忘れなく!
第三場 心療内科クリニックにて
声: どなたですか?
マリア: マリアサンチェスです 精神科医との予約があります
声: 少々お待ちください
声: ポストに5000ぺセタ入れてください
声: 受話器を取って3番を押してください
声: もしもし
マリア: マリアサンチェスです 精神科医との予約があります…
声: ではどうぞ
声: もしもし
マリア: 面談をお願いします 気分がかなり落ち込んでいます...
声: どうしてですか?
マリア: 愛人に捨てられました
声: 愛人ですか それともご主人ですか?
マリア: 愛人です 彼は結婚しています
声: そんな乱れた関係は あなたが未熟で まだ口唇期を乗り越えていない証拠です
マリア: 彼 奥さんと別れて私と暮らすと言い ました
声: あなたは保護を必要としています あなたはその男性に父親像を見ているのです
声: あなたは幼児段階に留まっているのです
声: エディプスコンプレックスを克服できず 愛人で父への愛を達成したがっています
マリア: いや どうかしら... 彼はいつも奥さんが理解してくれないと文句を言ってました
マリア: 私が彼の世話をして甘えさせてあげました
マリア: 彼は常に愛情不足で 「私ほど世話してくれる人はいない」って!
声: イオカステのコンプレックス 不満足な母性本能です あなたは子供が欲しいのです
マリア: 今は欲しくないです...彼は子沢山で 妻子を養うために
マリア: いつもお金に困っていました
マリア: 私は自分の分は自分 で払わなければなりませんでした...
声: どうして彼はあなたを捨てたのですか?
マリア: 何の説明もしてくれませんでした… きっと別の女と付き合っているんだわ
マリア: 短い手紙で別れを告げ 昔くれたダイヤモンドの指輪は持っていかれました
マリア: 彼がいなくなって気づいたわ 宝石箱から取っいったのね
マリア: そしてアパートの鍵は私の鞄から取ったんだわ これも気づかなかった…
マリア: もう本当に信じられなかった
マリア: 手紙には 「アパートを入居したときと同じ状態にしておくように」とだけ...
声: あなたの声が聞こえません!マイクに向かって話してください!
マリア: 理由はわかりませんわ!彼に捨てられたんです!
声: あなたは傲慢だ 彼にとってあなたはもう一人のメディアに変わってしまったのです
声: あなたは彼の母親になって 彼を支配したいのです
声: 彼が母親の子宮に戻るように もう一度彼を飲み込もうとしているのです
マリア: 違います 私は……!
声: 時間になりました 来週木曜にまたお越しください